靴下なのかミトンなのかわからないまぎらわしいタイトルにしておりますが(笑)、OKKO YOKKOさん(https://www.instagram.com/okkoyokko/)
がイランから届けてくださる手編み靴下をお手本にしたミトンです。
素敵なハンディクラフトとアンティークのお店、Rungtaさん(https://www.instagram.com/mayu_rungta/)
で開催されたOKKO YOKKOさんとニットデザイナーのサイチカさん(https://www.instagram.com/saichikaknit/)
による企画展「カスピ海のほとり イランのあたたかな手仕事」のお手伝いをしたときのこと。さまざまなデザインの手編み靴下をいいねいいねと眺めているうちに、おや?と気になることを見つけました。
それが、3枚めの写真の靴下の模様の編み方です。この靴下、前面と背面に異なる模様が編み込まれているのですが、前面の模様だけが3色なのです。むむ? 靴下は輪に編まれているのになぜ前面だけ? 輪に編むなら模様は1周しないと次の段が編めなくね? というのが気になった理由。と同時に、そういえばずいぶん前、同じタイプの靴下をOKKO YOKKOさんから購入して履きたおし、お役御免にしたけど捨てるのはしのびなくてしまいこんでいることを思い出しました。
そこで帰宅後、心のなかで編んだ方に詫びながらほどいて確認してみたところ、おおお!なるほど!と膝を打つことに。「できない」と思い込んでいた自分が既存の「定説」にとらわれていたこと、編み物はもっと自由なのだなあということを実感したのでした。
そして、そんな驚きをぜひご紹介したいと思い、OKKO YOKKOさんのご了承のもと、イランの靴下の編み方とデザインをお手本にしたミトンのパターンを考えました。イランの靴下から踏襲しているのは以下の5点。
1)指先から輪に編む編み方
2)指先の増し目の仕方(←ねじり増し目でも右or左増し目でもありません)
3)3色の模様の編み方(輪に編みながら「縦糸渡しの編み込み」をする方法)
4)止めの技法
5)編み込み模様のデザイン
加えて、作り目の方法は解明できなかったのですが、イランの手編み靴下は両先針で編まれているとのことなので、両先針を使って「指でかける作り目」から袋状に編み出す方法を考えました(いろいろ応用がききそうな方法なので、こちらもぜひお試しを)。
お手本にしたタイプの手編み靴下は、伝統的にベースは無染色の白、模様は赤と青などコントラストをつけた色で編まれるようですが、ミトンではイランの広大な大地と羊と牧草のイメージで茶色と白、緑の配色にしました。
イランの靴下に使われているウールの糸は、現地の羊たちの毛から作られた野趣あふれる素朴な質感で、やわらかくすっきりと整えられすぎていないところがたまらなく魅力的。とはいえ糸を手に入れるのは難しく(いつか編んでみたい)、またミトンは肌に直接ふれるものでもあるので、糸はデンマークのHOLST GARNのSUPERSOFT WOOLを使用しました。メリノとシェットランドをミックスした糸で、紡績時の油が残っているため編んでいるときは少しがさっとしていますが、水通しをするとやわらかくなるタイプです。この糸をイランの靴下にならって2本取り同士の編み込みにしています。イランの靴下に使われている糸より細いのですが、靴下よりも幅のせまいミトンに同じ模様を埋め込むために細い糸をみっちり編んでいます。
ポイントとなる作り目の方法、増し目の方法、止めの方法は写真でご紹介しています。
イランの編み物の自由さと楽しい模様を、たくさんの方に味わっていただけたら幸いです。
〈写真〉
1枚め:ミトン甲側
2枚め:ミトン手のひら側
3枚め:お手本にした靴下(ほどき中)
4枚め:靴下とミトンの大きさ比較。ミトンは靴下より細い糸をみっちり編んで、模様のくり返し数を同じにしています。
5枚め:イランの靴下はつま先から編む「トウアップ」タイプなので、ミトンも指先から輪に編んでいます。
6枚め:2種類の模様を続けて編むときのイメージはこんなふう。右側(甲側)の模様だけが3色です。
7枚め:裏返したところ。イランの靴下は「渡り糸が長い?それがどうした?」という感じでおおらかに編まれているので、そんなおおらかさも踏襲しています。
[サイズ]
幅10.5cm(手首部分)、長さ23.5cm(伸ばした状態)
[使用糸]
HOLST GARN SUPERSOFT WOOL(575m/100g)
095(CONKER)60g
198(ECRU)10g
062(HEATH)10g
[使用針]
4号両先針/6/0号かぎ針
[ゲージ]
メリヤス編みの編み込み:30目✕30段(4号針・10cm角)
ダウンロードパターンはA4版・9ページ。
日本式のチャート解説に加え、英文式の文章パターン(説明は日本語です)も記載し、チャート派、文章パターン派どちらのニッターさんにもご活用いただけるようにしました。一般的ではない作り目、増し目、止めの技法は、手順を写真で解説しています。